君と僕と聖なるお菓子。バレンタイン企画。

君と喧嘩したのは二日前。
他の誰かからしてみれば、どうでもいい様なこと。でも僕達にとってみればそれはとても大切で重要なこと。
君と付き合い始めたのはちょうど一年前。
バレンタインに始めて義理チョコ以外のチョコをもらったんだ。男としてみればそれはとても嬉しい事で、僕自身例外でもなかった。
しかも好きな子からもらったんだから尚更だ。
サテンのリボンに包装の赤色が今でも鮮明に残ってる。クリーム色のカードもね。
そうして僕達は付き合うことになったんだ。
初めのうちは話をするどころか、一緒にいることすら恥ずかしくて目の前にいながらメールで会話をしていた。
それも一ヶ月も経つとなくなり、普通に話せる様になった。
それからは何事もなく穏やかな交際が続いた。登下校を一緒にし、休みの日はメールや電話。今時珍しくらいの純潔な交際だ。
それが崩れたのは二日前。君が手を繋ぎたいと言ってきた。そんな君に僕は思い切り拒絶してしまった。君はそれから怒るでもなく、ただ僕を避けてるね。
なのにどうして？僕はあんなひどいことを言ったのに。
僕は驚くとかよりも前に、ただ信じられなくて、何度も確かめたよ。
朝、学校の靴箱を開けたら、去年と同じ赤い包装の小さな箱がちょんといた。
これは夢？
君はまだ僕の事を好いてくれている？
サテンのリボンと包装紙の間に挟まっていたカード。
それも、そこに書いてあった文章も去年と同じ。
それともデジャヴ？
５時に大木公園の時計の下
これはチャンス？
こんな僕にもチャンスをくれるの？
君は僕に甘いね。
僕だって手を繋ぐことくらいできるさ。でも、そんな事をしたら恥ずかしくてまただんまりになってしまう気がしたんだ。
ごめんね。傷付けて。
５時になったら、大木公園の時計の近くにあるベンチに座って話をしよう。
謝らさせて。
そしたら僕は君の手をきっと取ることができるから。